病気やけが・妊娠等で仕事を休んだ場合の給与

小さいものでいえば、体調不良で欠勤した場合(有給休暇は使用していない)、大きいものでいえば、病気・けが・妊娠等で1ヶ月間まるまる仕事を休んだ場合、給与の支払いはどうすればよいのか?

これは、労働者側の事情で仕事をしなかった、つまり少し難しくいうと、労務の提供を行わなかったわけですので、ノーワーク・ノーペイの原則により、その人の給与が月給であっても、給与の支払いは必要ありません。月給というのは、そもそも、一月に160時間あるいは170時間働くことに対する対価として取り決めた給与ですから、その行為がなされず、会社側は契約していた労務の提供を受けなかったわけですから、支払うべき対象を受け取っていない、つまり、その期間について、給与を支払う必要はありません。

これが逆で、会社の事情で労働者に仕事を“させられなかった”場合は、労働基準法26条にさだめられている「休業手当」として、平均賃金(過去3ヶ月の給与を暦日数で割った1日あたりの給与額)の6割を志原わなければなりません。この場合、仕事をしてもらっていないのだから払わない、では通りません。

ちなみに、いずれの場合であっても、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)は、給与が出なくても発生します。(雇用保険料は、給与支払いがなければ保険料も発生しません。)

2箇所で勤務する場合の税金・社会保険

2箇所以上から給与を受ける場合には、税金や社会保険はどうなるのでしょうか。

税金(所得税)は、いずれか1ヶ所を「主たる給与」ときめ、そこに「扶養控除等(異動)申告書」を提出し、所得税を甲欄で控除します。他の支払先は「従たる給与」となり「扶養控除等(異動)申告書」を出すことができないため、少し高めの税率である「乙欄」で所得税を控除します。年末調整は、「扶養控除等(異動)申告書」を提出している会社で受け、従たる給与については自身で確定申告を行います。ただし、乙欄で控除されている会社からの給与が20万円以下であれば、確定申告をする必要がありません。

社会保険は、健康保険・厚生年金と雇用保険で取り扱いが異なります。雇用保険は、いずれか一つの会社(メインで勤務する会社)での資格取得となります。

健康保険・厚生年金も、いずれか一つの会社で資格を取得(健康保険証を作成)しますが、給与の額は、A社からいくら、B社からいくら、C社からいくら、と届けることによって、年金事務所が、各社の保険料を按分して具体的な保険料額を通知してくるので、そちらで各社の給与からそれぞれ控除して支払うことになります。ただし、メインの会社以外では、非常勤としての勤務であれば社会保険の加入要件に該当しないことになりますので、その場合はメインの会社で資格を取得し、他の会社では関係ないことになります。通常は、役員等しかこういったことは該当しにくいでしょう。

在職老齢年金

在職老齢年金とは、60歳以降も在職し厚生年金の被保険者である人を対象に、給与の額に応じて年金額が調整(支給停止)される制度です。

60歳~64歳の在職老齢年金には、5つの計算式が存在します。が、実務上のポイントは下の3つのみなのです。

①給与月額と年金月額の合計が28万円以下なら、全額年金が受け取れます。

②給与と年金の合計が28万円を超える場合は、「(給与月額+年金月額-28万円)÷2」の年金額が停止されます。

③月の給与額が48万円以上の場合は、よほど年金額が多くない限り(月額20万円以上の年金額)、年金は全額支給停止されます。

65歳以上の在職老齢年金は、上記の調整が多少緩やかになります。

①老齢基礎年金(定額部分)、経過的加算は全額支給されます。

②老齢厚生年金(報酬比例部分)と給与月額との合計が48万円を超える場合は、「(給与月額+年金月額-48万円)÷2」の年金額が停止されます。

出産前後の休業

出産の前後には、法律で定められた休業期間があります。

①産前産後休業

産前産後休業は、労働基準法で定められているものです。

出産日より42日前より休むことができますが、これは、妊婦本人が請求した場合であって、

本人が休むことを請求しなければ、出産日前日まで働かせても構いません。

これに対し、出産後は、本人が働きたいといっても56日間、働かせてはなりません。

ただし、産後6週間を過ぎて本人が働くことを希望し、医師が働くことを許可した場合には、

働かせても差し支えありません。

②育児休業

育児介護休業法に定められており、子が満1歳になるまで(保育所等に預けられない場合には

1歳半まで)休業するものです。

育児休業は、産婦のみならず、その夫であっても、請求してきた場合には

休みを与えなければなりません。

ただし、休みたいと請求してこなければ、会社側から休ませなくても差し支えありません。

そして、①の産前産後休業も、②の育児休業も、休んでいる間の給与は支払う必要はありません。

(もちろん、支払っても結構です。)

 

 

高年齢継続給付金と年金

雇用保険に5年以上加入している人が60歳になり、給与の額が大幅にダウンした場合には、

雇用保険から高年齢継続給付金が受けられます。

ただし、それを受けている期間、年金(特別支給の老齢厚生年金)は、一部カットされます。

高年齢継続給付金と、年金のカット率の例です。

●給与額が、60歳時給与の75%にダウン

 ⇒継続給付金 : 支給されません

 ⇒年金     : カットされません

●給与額が、60歳時給与の74.5%にダウン

 ⇒継続給付金 : 現在給与の0.44%が支給

 ⇒年金     : 現在の標準報酬月額の0.18%カット

●給与額が、60歳時給与の70%にダウン

 ⇒継続給付金 : 現在給与の4.67%が支給

 ⇒年金     : 現在の標準報酬月額の1.87%がカット

●給与額が、60歳時給与の61%以下にダウン

 ⇒継続給付金 : 現在給与の15%が支給

 ⇒年金     : 現在の標準報酬月額の6%がカット

*年金は、報酬比例部分だけが支給されている場合でも、上記のとおりカットされます。

外国人と年金

外国人であっても日本に住んでいる間は、日本の年金に加入しなければなりません。

留学生であれば、国民年金の第1号被保険者

会社勤めであれば、厚生年金(第2号被保険者)

会社勤めの夫の妻(逆の場合もあり)であれば、国民年金の第3号被保険者

となります。

25年満たずに、帰国等で海外へ出て行ってしまう場合、今まで掛けた年金は

むだになってしまいますが、それらの対応策として、

国民年金の第1号被保険者として6ヶ月以上保険料を支払った場合、

あるいは、厚生年金に6ヶ月以上加入した場合には、

出国後2年以内に請求すれば、「脱退一時金」の支給を受けることができます。

(支払った保険料を清算する意味になりますので、社会保障協定を結んでいる場合には、

その相手国の年金には通算されなくなります。)

 

 

70歳以上の健康保険

結構、高齢者の医療制度は、制度自体がよく変わるので、私自身もややこしく感じてしまうのですが…

まとめますと、

●70歳以上75歳未満→高齢受給者証というものが発行されます。

協会けんぽ(政府管掌)の被保険者…そのときの標準報酬月額に応じて1割か3割

協会けんぽ(政府管掌)の被扶養者

 …被保険者が70歳未満の場合、1割

 …被保険者が70歳以上の場合、

国民健康保険の被保険者…前年の所得に応じて1割か3割

と、なります。

75歳以上になりますと、後期高齢者(長寿)医療保険へ加入します。

年間休日数が大切なわけ

貴社の年間休日数は、何日かお分かりでしょうか?

休日数なんて、普段あまり意識することはないと思うのですが、

実はとても大切なことなのです。

というのが、一般的に社員さんのお給料は「月給」であることが多いです。

ところが、その月給、ひと月に何時間働くことに対する対価なのでしょう?

パートタイマーやアルバイトの方については、働いた時間分だけ時給を掛けてお支払いすればよいですが、

月給者は実は、「ひと月に何時間働く」ということを前提として一月分のお給料を毎月一定額で

支払っているのです。

では、ひと月に働く時間とは…?

これは、1ヶ月で何時間、ときちんと勤務表、シフト表などで決めている会社ならその時間数ですが、

土、日、祝日がお休みという会社は、1年間の休日数から1ヶ月間の労働時間数を割り出す必要が出てきます。

たとえば、

①土曜日

②日曜日

③祝祭日

④年末年始(12/30~1/3)

⑤お盆休み(3日間)

を会社の休日と定めているケースであれば、

①と②で約104日、③で約15日、④が5日、⑤が3日で、

このケースでの年間休日数は127日となるわけです。

そこで、この会社の社員さんがひと月に働く時間とされているのは、

365日-127日=238日が年間労働日数

238日÷12ヶ月=19.83日

1ヶ月約20日の労働となり、1日の所定労働時間が8時間であれば

1ヶ月間では、8時間×20日=160時間となり、

月給の額は、1ヶ月160時間を労働することを前提とした給与である、ということになります。

このように割り出せば、例えば欠勤や遅刻などの際にカットする給与の金額も

迷わずに計算することができますね。

 

扶養に入る

夫の扶養に入る、

妻がパートタイマーで働く場合や、退職後によくあるお話です。

実は、一言で扶養といいますが、扶養にもいくつかの内容があります。

①住民税

住民税がかからないためには、パート収入(給与収入)が年間100万円以下とすることが必要です。

この場合の「年間」「収入」とは、1月~12月に実際に受け取る給与の額面(ただし、通勤交通費などの

非課税給与は除きます)をいいます。

②所得税

所得税がかからないためには、パート収入(給与収入)が年間103万円以下とすることが必要です。

この場合の「年間」「収入」とは、住民税と同じく、1月~12月に実際に受け取る給与の額面

(ただし、通勤交通費などの非課税給与は除きます)をいいます。

③健康保険、国民年金

健康保険と年金の扶養に入るには、年間収入が130万円未満(60歳以上は180万円未満)である

ことが必要です。

この場合の年間収入とは、「現時点から将来に向かって」130万円を超えないことをいい、

収入の額は、課税+非課税の全てを合わせた収入額をいいます。

*健康保険の扶養認定は、各保険者に裁量があります。上記は協会けんぽの認定基準であり、

健康保険組合、公務員共済組合などは独自の認定基準があります。

このように、扶養にもいくつかの種類があり、また状況に応じて入れるもの入れないものが

ありますので、十分に確認する必要があります。

扶養についてのよくある事例を一つを挙げていますので、一緒にご確認ください。

【6月に妻が退職、その年の1月から6月までの給与が120万円だった】

この場合、1月~6月までの給与が100万円、103万円をいずれも超えてしまっているため、

その年については税金の扶養に入ることができません。

つまり、夫の「扶養控除等(異動)申告書」に妻の名前を記載することができず、

その年の年末調整時にも、妻は扶養に入れて計算することはできません。

ただし、141万円以下ですので、「配偶者特別控除」の対象とすることはできます。

一方、健康保険と年金の扶養には、退職後、何の収入も得ない予定であれば、

そのときから扶養に入ることができます。

ところが、雇用保険の失業給付や出産手当金を、 1日当たり3,612円以上の金額で

受けている間は収入があるとみなされ、扶養に入ることができませんので、

それらの受給を終わってから扶養に入ることになります。

(受給中は、妻自身で任意継続あるいは国民健康保険へ加入しなければなりません。)

 

社会保険料の給与からの控除【退職編】

退職時の社会保険料の控除も注意が必要です。

【給与計算期間が1日~末日、支払日が翌月10日の例】

①退職日 1日~末日の前日(30日の月なら29日退職、31日の月なら30日退職)

 →翌月10日に支払う給与では控除しない!

②退職日 末日 →翌月10日に支払う給与で控除

【給与計算期間が前月16日~当月15日、支払日が当月25日の例】

①退職日 前月16日~前月末日の前日(30日の月なら29日退職、31日の月なら30日退職)

 →控除は、前月に支払った給与が最終(今月25日に支払う給与からは控除しない!)

②退職日 当月1日~当月15日

 →控除は、今月25日に支払う給与が最終 

★ただし、雇用保険料は、その都度の給与から控除します。

社会保険料の給与からの控除【入社編】

給与計算する場合に、ややこしいのは社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)の控除です。

給与の計算期間(締め日)と支払日、資格取得日との関係で、いろいろなパターンが出てきます。

下記の例を、貴社のケースに当てはめてみてください。

【給与計算期間が1日~末日、支払日が翌月10日の例】

①資格取得日 1日~末日 →控除開始は、翌月10日に支払う給与から

【給与計算期間が前月16日~当月15日、支払日が当月25日の例】

①資格取得日 前月16日~前月末日 →控除開始は、今月の25日に支払う給与から

②資格取得日 当月1日~当月15日 

 →控除開始は、翌月25日に支払う給与から(今月25日の給与からは引かない!)

★ただし、雇用保険料は、その都度の給与から控除します。

 

パートタイマーにも有給休暇?

正社員よりも短い時間、あるいは少ない日数で勤務するパートタイマーにも、

入社後6ヶ月経てば、有給休暇を与えなければなりません(出勤率が8割以上の場合)。

ただし、

①付与する日数は、勤務する日数が少ない場合には、その日数に応じて少ない日数を

与えます(比例付与)。

②有給休暇を使って休んだ場合に、何時間勤務をしたとみなすのかは、

その人の所定の労働時間数で構いません。

1日の勤務が、4時間の人には4時間を、6時間の人には6時間を付与します。

その他注意することは、有給休暇は、勤務日に対して使用するものですので、

もともと休日である日には、有休は使えません。

例えば、週4日勤務、3日が休日の場合、勤務日の4日について有休を使うことができるのです。

退職後も、出産手当金・傷病手当金を受けられるのでしょうか?

病気欠勤や休職をして、復帰できずに退職してしまう場合、あるいは、出産を控えて退職する場合、

退職すれば当然、会社で加入している健康保険の資格を喪失するわけですが、

退職後は、これらの給付金は受けられなくなってしまうのでしょうか?

実は、一定の要件を満たしていれば、引き続き給付を受けることができます。

要件とは、

①資格喪失日の前日(つまり、退職日)までに、1年以上継続して被保険者であること

②被保険者の資格を失ったときに、手当金を「受けているか」、受ける「条件を満たしている」こと

②は、つまり、在職中に発病、あるいは、産前42日に入り、退職日に休んでいること

が条件となります。(休んでいればよいので、有給休暇を使用していても構いません。)

傷病手当金の場合、受けられる期間は、実際に受け始めた日から1年半ですが、

その間、受給が一旦途切れるとその時点で終了してしまいますので、注意が必要です。

出産手当金の場合、退職後に夫の被扶養者になるケースがありますが、

出産手当金の日額が3,612円以上であれば、収入の要件を超えてしまいますので、

受給している間、夫の被扶養者とはなれません(協会けんぽの場合の認定基準です)。

また、被保険者の資格喪失後、

・6ヶ月以内に出産したとき →出産育児一時金

・3ヶ月以内に死亡 →埋葬料

が支給されることになっています。

新型インフルエンザへの対応

新学期早々、近隣の市で学校閉鎖がなされています。企業は、新型インフルエンザに対して
どのように対処すべきなのでしょうか?

①従業員自身が感染した場合
②従業員の感染が「疑わしい」場合
③感染が拡大して、従業員が感染する「可能性が極めて高い」場合
④従業員の「家族が感染」した場合

の4つに大きく分かれると考えられます。

①安衛法施行規則61条や感染症法において
就業を制限できますので、ノーワークノーペイの原則により
その間の給与支払い義務は生じません。

社員が、症状が軽いから出社したいと申し出ても、会社は就業を制限することが必要です。

②会社の判断ではなく、保健所・医師に連絡をしてその指示によって休む場合は、
この場合も、通常の体調不良などと同じく欠勤・早退などと同じく扱うこととなり
ノーワークノーペイにより、給与支払いは発生しません。
(有休の請求があれば、認めるかどうかは会社次第。)

保健所・医師などの指示はなく、会社が出社を控えるように要請する場合には、
労基法26条休業手当(平賃6割以上)の支払いが必要です。

③会社としても、一斉に自宅待機を命じることを検討する必要も出てきます。
その場合は、感染という事実がないにもかかわらず、
会社の自主的な判断によるため
上記②の二つ目と同じく、労基法26条休業手当(平賃6割以上)の支払いが必要です。

この場合、参考になる考え方としては集団感染ですが、
「1つのフロアで過ごしている人たちの中で、1週間以内に10人程度発症」
する場合に、集団感染と認定するそうですので、
判断の指針として一つの参考になるでしょう。

④家庭内の対策(寝る部屋を別にするなど)をとってもらう必要がありますが、
この場合、自宅待機をさせるのか、出勤をさせるのかの判断が分かれるところです。

潜伏期間は、新型の場合「7日」と考えられていますので、その間を出勤停止にするのか、
(その場合は、③同様に休業手当の支払いが必要)
出勤をさせる場合には、検温、体調報告は必須です。

また、感染した社員が出社してくる時期は、いつならよいかということですが、
・熱が下がってから2日目まで
・発熱やせき、のどの痛みなどの症状が始まった日の翌日から7日目まで
については出社しないように、市・県では指導しています。

出産育児一時金の請求について

健康保険の被保険者(社員本人)あるいは、その扶養家族が出産した場合に支給される

出産育児一時金が、この10月1日以降、38万円から42万円の支給となります。

今までは、出産費用を一旦全額病院に支払った後、健康保険に請求して

一時金を受け取っていましたが、手元にまとまった現金が必要なため

たいへんでした。

この10月からは、健康保険から病院へ直接一時金が支払われることになりますので、

現金の心配をせずに安心して出産をすることができます。

実際にかかった費用が42万円を超える場合は、差額を本人が病院へ支払い、

逆に42万円未満であった場合には、残りの額を後日健康保険に対して

請求することになります。

 これら支給額の増額と病院への直接給付は、緊急の少子化対策として

23年3月末まで暫定的に実施されるものです。

税金、社会保険料の対象となる給与

給与項目の中には、基本給、手当、交通費などがあります。これらを分類すると、

①課税給与…基本給、いろいろな手当

②非課税給与…通勤交通費

と、大きく分けられます。

所得税、住民税などの税金がかかる給与は、このうち①の基本給、手当などです。

②の通勤交通費は、非課税です。(ただし、上限があります。)

ところが、健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などの社会保険料は、

①のみならず、②の非課税通勤交通費も対象となり算入しなければなりませんので

ご注意ください。