入社3年を経過すると、せっかく採用した新卒も3割がやめてしまうと言われています。コスト、手間隙を掛けてせっかく教育したにもかかわらず、何年かでやめてしまわれては採用側は正直、無駄な投資だったという気持ちになってしまいます。今の若者が我慢弱いからでしょうか? それとも時代の流れなのでしょうか…。
これについて、最近とてもおもしろい本を読みました。「3年目社員が辞める会社 辞めない会社」(森田英一著 東洋経済出版社)です。単に、最近の若者の特性というだけではないようです。以下に、ほんの一部ですがまとめてみましたので、参考にご覧ください。
(株)シェイク(著者森田氏の会社)が行った「社会人3年目調査」によると、「現在、転職したいと考えているか?」という質問に対して、転職をしたいと考えている(23.5%)、やや転職したいと考えている(31.0%)で合計すると半数以上に転職希望があるそうです。また、長期勤続の意識も薄れていて、「この先、今の会社で何年ぐらい働きたいか?」という質問に対しては、1年未満が18.7%、1年~3年未満が30.3%と、約半数が勤続3年未満と考えています。
逆に「今の仕事に満足しているか?」という問いに対しては、満足している(9.7%)、やや満足している(36.8%)です。つまり、半数近くが今の仕事にある程度満足しているにもかかわらず、転職したいと考えている人は54.5%もいるということになります。この結果は、転職意向が単なる「職場への不満」ではないことを示しています。
森田氏の経験から、入社後何年かでやめてしまう理由として大きく5つを挙げています。①入社して3年以上経てば、転職市場での価値が高まる ②3年ほど勤めていれば、周りの人(親・親戚など)に対して転職の言い訳がしやすくなる ③ある程度仕事ができるようになってきたという自信(逆に言うと、マンネリ感)④社会での経験を一通り積むことによって自分の存在意義、自分らしさなどを考え始める ⑤自分の将来のキャリアに対する不安(このままだと自分もあんなふうになってしまう)これらが離職を考える理由ですが、どれもなるほどと納得するものだと思います。
これらの背景にあるものは、今の時代「会社には頼れない」という危機感、そしてその結果生まれる「自分の力で生きていかなければ」という覚悟のようなものということです。昔なら企業は事実上「一生社員の面倒を見ます」といっていたものが、今は企業も政府も「自己責任」と言い出して、それなら自分の身は自分で守るしかない、というところでしょうか。
若者たちに仕事を通じて得たいものは何か?と質問したところ、成長すること、自分自身の価値を高めることという回答が、なんと65.1%に達するそうです。「自分の力で生きていく」ためには、若いうちに「成長しなければ」という考えになります。これは意欲のある優秀な人材にとくに見られる傾向です。続いて、よい給料を得ること、仕事で充実感を得ること、いろいろな知識や技術を得ること、認められる・ほめられる・尊敬されること、他の人を喜ばせること、社会へ貢献すること、と続きます。仕事に物的なものよりも、“内的、精神的”なものを求めている人が多いことに驚かされます。
若者の離職問題を考える上では、
①成長実感 ②存在意義の実感 ③成長期待(2~3年後イメージで)
を感じてもらえること、また、自らがそのように行動し感じていける人間を会社も育てていけること、がこれからの時代のキーワードのようです。もちろん、若者以外でも、社員全体に対して会社が考えていかなければいけないことでしょう。
